2018年7月3日


太陽光発電の出力制御、新契約は無補償中国電 申込量の上限迫る 送電線活用カギに


中国電力は月内にも太陽光発電で生み出す電気を送電線(系統)に接続する枠が上限の出力660万キロワットに到達する見通しだ。

 

今後、太陽光発電の事業者は送電を止める「出力制御」を、日数や時間にかかわらず補償しない前提で中国電と契約を結ぶことになる。

 

新規に申し込みをする発電事業者にとっては将来、無補償の出力制御が収益を圧迫する可能性がある。

 

電力会社は電力需要を供給が大幅に上回る場合に太陽光発電が大量に供給されると、送電網の容量を超えて停電のリスクが出る。

 

火力発電を最小限の安定稼働に抑えるなど調整したうえで、太陽光発電所から送電線に電気を送ることを止める出力制御を要請できる。


中国電は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で認められている出力制御の枠を660万キロワットと設定している。


既に稼働済みの太陽光発電所と、接続の申し込み済みの発電所の出力合計が6月15日時点で659万キロワットになった。


設定値を超えれば、それ以降に発電事業者が接続申し込みをする場合には日数や時間数にかかわらず無補償になる。


上限なく無補償となる「指定ルール」に移行するのは電力会社では6番目。


都市部より需要が少なく、送電網の容量が小さな九州電力や四国電力などが移行している。

 

中国電力管内では太陽光発電所が完成し、送電線に電気を送れる実際の「接続済み」の出力は6割弱にとどまり、過去に出力制御をしたことはなく、今後もすぐに出力制御をする状況ではない。


ただ、法改正で認定日から期間内に稼働しなければ買い取り期間が縮まるルールができた。
接続済みが100%に近づくにつれて出力制御をする可能性が出てくる。


中国電は2026年度に960万キロワットまで太陽光発電が増えることを想定した。

 

無制限の無補償を前提に契約した太陽光発電事業者は、その年の制御率が33%になる見通し。固定価格買い取り制度(FIT)の固定価格も見直されるたびに下落している。

 

れから参入する発電事業者にとって無補償の出力制御は収益圧迫の要因になる。

 

中国電は再エネの出力制御枠を算出する前提として、島根原発の2号機の再稼働と3号機の新規稼働を盛り込んでいる。

 

需要が少ない休日の昼間などは、火力発電を安定供給に支障のない範囲で停止したり揚水発電を活用したりする。

 

太陽光発電は接続契約の申し込み順に送電線の接続容量を確保する。
空き容量が無ければ送電設備を増強するが、多額の時間と費用がかかり、電力料金の上昇につながりかねない。

 

既存の系統を有効活用するため、実際の空き容量を見ながら運用するよう、従来の運用を見直す「日本版コネクト&マネージ」の導入に向けた議論も活発だ。

 

出典:2018年6月27日 日本経済新聞 地域経済